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ねんきん定期便の数字を逆算したら、年金事務所の説明と違っていた話
― 60歳退職・任意加入・繰上げ受給・2拠点生活の設計記録 ―
はじめに
2032年6月末、60歳1か月で会社を退職する予定です。その後は日本と海外の2拠点生活を計画しています。
年金を少しでも増やそうと未納分の追納を調べたところ、追納期限を過ぎていて不可能でした。残された手段は「国民年金の任意加入」だけ。そこから始まった検討が、思わぬところに着地しました。
この記事は、その検討の全記録です。同じ状況の方の参考になればと思います。
注意: 私は社労士でもFPでもありません。以下はすべて自分のケースの記録であり、一般的な助言ではありません。金額は令和7〜8年度の制度を前提とした概算です。
1. 出発点:追納できなかった
私の年金記録
1972年5月生まれ、高校卒業後に専門学校へ2年間通いました。20歳になったのは1992年(平成4年)5月。在学中と卒業直後の合計19か月が全額免除です。
その後、20年ほど前の転職・無職期間に15か月の未納がありました。
年金事務所での回答
追納には10年の期限があります。19か月も15か月も、すでに10年を大きく超えていました。
「追納はできません。増やす方法は任意加入だけです」
任意加入とは、60〜65歳の間、厚生年金に加入していなければ国民年金に任意で加入できる制度です。私の場合、34か月分が可能とのことでした。
そして、こう言われました。
「ただし免除期間の19か月分は、すでに半分が年金額に組み込まれています。19か月分払っても、増えるのは9.5か月分相当です」
これが最初の分岐点でした。
2. 定期便の数字を逆算する
「半分(1/2)」という説明に引っかかったので、ねんきん定期便の数字を検算してみました。
老齢基礎年金の計算式
令和7年度の満額は 831,700円。1か月あたりの単価は 831,700 ÷ 480 = 1,732.7083円。
私の定期便に記載された老齢基礎年金の見込額は 783,762円 でした。
3通りで検算した結果
納付済月数を446か月(480 − 19 − 15)として、免除19か月の扱いを3通りで計算します。
1円単位でぴったり一致したのは「1/3」だけでした。
1,732.7083 × 452.3333 = 783,761.7 → 783,762円
偶然の一致とは考えにくい精度です。
制度面からの裏付け
生年月日から時期を確定させると、さらにはっきりしました。
免除期間は平成4〜5年です。ここから2つのことが確定します。
① 学生納付特例ではない
学生納付特例制度が始まったのは平成12年4月。私の在学中には制度自体が存在しません。当時の学生は国民年金に強制加入で、払えない場合は通常の申請免除を使っていました。
② 国庫負担は1/3の時代
全額免除期間の年金額への反映割合は、国庫負担割合に連動します。
平成4〜5年の免除なので、1/3で確定でした。
3つの検証が一致
年金事務所の「1/2」は、現行ルールでの一般的な回答だったのだと思います。
なぜこれが重要だったか
追加19か月分の価値が変わります。
回収年齢に換算すると、手取りベースで90歳が84歳に前倒しされました。「やらない」判断が「やる」判断に変わったのです。
教訓
年金事務所で聞くときは、こう聞くのが確実です。
「定期便の老齢基礎年金◯◯円の計算に使われている反映月数を教えてください」
「1/2ですか1/3ですか」と聞くと一般論で返ってきやすい。数字を出して聞くと、記録に基づいた答えが返ってきます。
3. 任意加入は何か月やるべきか
480か月の壁
任意加入すると「納付済+免除」の合計が480か月を超えます。超えた分は免除期間から先に切り捨てられるルールがあります。
つまり、
- 最初の15か月 → 1か月あたり満額の1/480がまるまる増える
- 後半の19か月 → 免除の1/3が押し出されるので、実質2/3の効き
回収年齢の計算
保険料18,000円/月、令和8年度満額847,300円(1か月単価1,765円)で試算。手取りは額面の約8割で計算しました。
60歳男性の平均余命は約24年(84歳前後)。追加19か月も期待値としてはプラス、しかも長生きするほど得になる「保険」として機能します。
結論:34か月フルで任意加入する。
忘れてはいけない付加保険料
任意加入被保険者は月400円の付加保険料を納付できます。
回収2年。検討の余地なく実行すべきものです。ただし後から遡れないので、任意加入の申込時に同時手続きが必須です。
4. 退職日が生む差
退職日は2032年6月30日で確定しています。これが実はかなり効いていました。
6月末退職の意味
厚生年金は「資格喪失日の属する月の前月」まで算入されます。もし6月29日退職だと喪失日が6月30日となり、5月分までしか付きません。
たった1日の差で1か月分変わります。
定期便に含まれていない上乗せ
定期便の見込額は「60歳まで加入」を前提に計算されています。つまり2032年5月・6月の2か月分は含まれていません。
60歳以降の厚生年金は老齢基礎年金には反映されませんが、経過的加算として上乗せされます。
5. 失業保険と海外滞在は両立できる
当初の想定と、その誤り
「退職後は求職活動をする。失業保険をもらうなら月1回ハローワークに行く必要があるので、海外2か月滞在は諦めるしかない。半年の辛抱」
そう考えていましたが、2つ間違いがありました。
① 給付日数は「半年」ではない
60歳・被保険者期間20年以上の場合、給付日数は**150日(約5か月分)**です。
② 定年退職なら給付制限がない
自己都合退職には7日の待期+2か月の給付制限がつきます。しかし定年退職は「正当な理由のある自己都合離職」として扱われ、給付制限がありません。
私の会社は60歳で退職金が出て、その後は「シニアパートナー」という別の身分になります。これは60歳がいったん定年で、その後は再雇用という設計だと思われます。だとすれば離職理由コードは「2A(定年)」になるはずです。
受給期間延長という制度
そして、定年退職者だけが使える制度を見つけました。
60歳以上の定年等により退職した人が、しばらく休養してから求職活動をしたい場合、受給期間(原則1年)を最大1年延長できます。
これを使うと、順序を逆にできます。