ザンヨメ💀残高余命

試算して、供養する ~ここは"あり得た人生"の資料館~
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「75歳から医療費が増える」は、嘘だった

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75歳を境に、要介護認定率は4.3%から31.1%になる

残高余命には長いあいだ、こんなスライダーがあった。

「追加医療費(月額・75歳〜)」初期値2万円。

75歳を過ぎたら医療費が重くなる。80歳を過ぎたらもっと重くなる。だから月2万円を上乗せし、80歳からは1.5倍にする。誰に聞いても「まあ、そうだろうね」と言われそうな設計だ。

先日、この機能の根拠を統計で確かめようとした。そして、根拠がないことが分かった。

家計調査が示していたもの

総務省の全国家計構造調査(2024年)から、夫婦のみ無職世帯の保健医療費を年齢別に引いてみる。

増えていない。むしろ減っている。

理由は制度だ。後期高齢者医療制度によって自己負担割合が下がるため、医療の利用量が増えても、家計から出ていく金額は増えない。国民医療費ベースで見れば65歳以上の一人当たり医療費は年67万円で65歳未満の4倍以上あるが、その差のほとんどは保険と公費が負担している。

私は医療業界にいる。それでも、家計簿の側から見た数字を確かめたことはなかった。「医療費が増える」という業界の実感と、「自己負担は増えない」という家計の事実が、頭の中で接続されていなかった。

スライダーは廃止した。

では、何が重いのか

代わりに見つかったのが介護費用だった。

生命保険文化センターの調査によると、月々の費用は平均9.0万円(在宅5.3万・施設13.8万)、住宅改造などの一時費用が47.2万円、期間は平均55.0か月。総額で約542万円になる。

そして要介護認定率。65歳以上75歳未満で4.3%、75歳以上で31.1%。 75歳を境に7倍以上に跳ね上がる。

「75歳から重くなる」という直感自体は正しかった。重くなるものの名前を、私が間違えていただけだった。

介護は、何によって終わるのか

もう一つ、設計を変えることになった発見がある。

特別養護老人ホームの退所理由を調べると、施設内死亡と入院後の死亡を合わせた死亡退所が70.4%、入院による退所が24.9%。合わせて95.3%。

介護は、事実上「本人が亡くなること」で終わる。 回復して要介護から外れる人は、統計上ほとんどいない。

当初の実装は「開始年齢を決めて、そこから5年」という形だった。だがこれだと、持病がある人ほど介護が早く始まり、早く終わる計算になる。死ぬ3年前に介護が終わって、そのあと元気に暮らす。そんな人生はない。

終わりを想定寿命に固定し、開始年齢を逆算する方式に変えた。ついでに、健康状態の扱いも改めた。持病があるかどうかで介護の「期間」を変えることにしたのだ。開始が早まって終わりが固定なら、それは期間が長いことと同じだからだ。別々の調整だと思っていたものが、実は同じ一つの調整だった。

ちなみに、どこで最期を迎えるか。2023年の人口動態統計では、病院・診療所が65.7%、自宅17.0%、施設15.5%。最も多い最期は、自宅でも施設でもなく病院だ。 3人に2人。在宅で介護が始まり、数年続き、最後は病院か施設へ——これが標準的な経路になる。

統計にも穴がある

ただし、上の数字を鵜呑みにはできない。

家計調査も全国家計構造調査も、社会施設の入所者と病院の入院者を調査対象から除外している。 つまり「75歳以上は医療費が増えない」という結論は、在宅で暮らし続けられている人だけを見た数字だ。費用が最も膨らんだ人は、統計から消えている。

さらに、国は病床の再編を進め、在宅・施設への移行を促している。病院が引き受けていた「介護の延長線上」は、今後縮小していく。月9.0万円という数字は、病院が最期の65.7%を引き受けていた時代の調査に基づく。 これから老後を迎える世代には、低すぎる可能性が高い。

根拠ページを公開した

以上を踏まえて、算定根拠のページを作った。

数字ごとに、🔵統計/🟡統計+判断/⚪推計の3種別を表示している。政府統計そのままの値と、私が判断で調整した値と、根拠がなく推計にとどまる値を、混ぜずに並べたかった。

そして「統計の限界」という章を設けて、上に書いた穴を全部書いた。自分で見つけた弱点も入れてある。たとえば「係数は掛け算なので、元の医療費が極端に少ない人には老後の増加が反映されない」——これは自分の設定で試して気づいた欠陥だ。

弱点を隠したページより、書いてあるページのほうが信用できると思う。少なくとも私は、そういうツールを使いたい。

残高余命 算定根拠https://app.zanyome.com/kyoten/